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高森明勅
2017.1.5 01:00

もしも鳩山・菅だったら?

安倍外交は連戦連敗。

どうしてこれほど負け続けるのか?

プーチンを安倍首相の郷里、山口にわざわざ呼んで、
鳴り物入りの首脳会談。

成果はゼロどころか、絵に描いたような「食い逃げ」。

と言うより盛大な食い逃げの「開幕」!
これほど完膚なき迄の外交敗北は珍しい。
トランプの自宅までノコノコ出向いて、「信頼できる」
ヨイショした返礼がTPP離脱表明。

これも完敗だ。

日韓合意が一方的な敗北だったのは改めて言う迄もない。

だが、韓国の勝手な国内事情で、更に負けが込みそう。

北朝鮮に制裁を一部解除して、
優しい顔を見せたら核やミサイルで
好き勝手されて、
拉致問題は1ミリも動いていないし、動く気配も
ない。

靖国神社参拝を中断したまま、アメリカによる広島・
長崎への
原爆投下という世界史上、空前の戦争犯罪と、
わが国がアメリカに
追い詰められて行った純粋な軍事行動である真
珠湾奇襲を、愚かにも
等価に扱ってしまった真珠湾訪問等々。

見事(!)に負け続けている。

各国にとって、これほど“美味しい”交渉相手はいないだろう。

メディアは、安倍首相の真珠湾訪問がアメリカ国内で
好意的に受け止められた、
と報じていた。

それはそうだろう。

アメリカ国民にとっては、日本の首相自身が
お宅は広島・長崎に原爆を投下したけど、ウチも真珠湾奇襲を
やりましたら、オアイコですと)、
自国が核兵器を使用した
“トラウマ”を、
晴れ晴れと払拭してくれたのだから、歓迎して
当たり前。

外交の古典的な“落とし穴”は、指導者の功名心。

一発、目覚ましい手柄を立ててやろうという、
さもしい野心が相手国に利用されてしまう。

しかも、内政ではかばかしい成果を挙げられないのを、
外交で誤魔化そうとする邪な動機も混入する。

するとますます、相手国に足元を見られてしまう。

安倍外交はまさにその典型的なパターン。

とりわけタチが悪いのは、失敗を国民の目から反らす為に、
無駄に次の課題を掲げ、新たな外交上のバクチに乗り出すこと。

その結果、「敗北の山」を築くことになった。

負ければ負けるほど、その負けを取り戻そうとして、
首が回らなくなるのがギャンブル依存者の通例。

安倍首相の場合、本人が身を持ち崩すのなら結構だが、
その満たされない功名心のせいで、莫大な国益が損なわれてしまう。

もし全く同じことを、鳩山由紀夫氏や菅直人氏がやったら、
どうだろう。

保守系の人々は口を極めて
罵倒したのではないか。

国賊! 売国奴!!と。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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